昔の話である。

俺は、「俺じゃなくて他の人に頼んだら!」と言った。

頼んできたのは女性なのだが、多分親切な気持ちで、仕事を誘ったんだと思う。引き受けたら、依頼通りの仕事はできたと思う。

しかし、その仕事は俺でなくてもいいだろうと思ったのである。

この気持ちわかってもらえるだろうか!俺は正直にいったのである。その彼女はあからさまに不快の表情をした。俺は少し驚いた。

俺はいつも安い仕事だろうと想像してしまう、その頃そんな習性があった。

結果的には悪い事をしたと思うが、今言われても、同じ事を感じるし、いうことになるのかもしれない。

今は彼岸花の季節で、沢山の切り絵作家が、彼岸花を切り絵にする。

俺は彼岸花を切ったことがない。いい作品が必ず作れると思う。いつでも作れると思うから、やらない。

でも、他の人と比較して、多分上手い人と比べて、同じか、少し上手いくらいだと思う。

風景画、静物画は人によって、差が出ない。俺がやってもそうだ。

人物画は違う。すごい差が出る。俺の切り絵の領域にいる人は、日本にほぼいない。井出文蔵さんだけだ。

俺と井出さんの下となると、かなり差があると思っている。

亡くなった方に関口コウさんという切り絵作家がいたが、童画を得意とした方で、こういう言い方をしたら誤解されるかもしれないが、漫画を切り絵にしていた方である(俺も漫画を切り絵にしている)。それで晩年は、妖艶な女性を描こうとしてチャレンジしていた。

でも、まだまた、下手だったのである。多分素人には上手く見えたかもしれない。でも、実はデッサン力がなかったのである。

素人の方には、色の付け方とかが、プロっぽかったんで、デッサン力のなさが見えなくなっていたんだと思う。

勿論、先輩だから、もちゃげていた。

先日、シカゴから来た友人が、風景切り絵をしているカナダ人の共通な切り絵作家がいるという事で、彼の話をしたことがある。

その中で俺が話をしたのは、彼の切り絵は、風景の写真を撮って、それをトレースして切っているかもしれないといったのである。つまりデッサンをしてないで下絵を作り、切っているかも、と言ったのである。

彼の風景の切り絵の中に人物が出てこない、彼の竜の絵を描いた下絵を見たら、とてもレベルが低かったので、普段デッサンで風景画を描いてないな!と思ったのである。

その事をシカゴから来た友人に話したのである。

彼は、その事に初めて気が付き、人物を描けるかどうか、そういう方向から絵を見るんだ!と納得ていた。

ちなみに、俺は風景画もデッサンしている。力がつかないからだ。それも訓練である。

プロ作家にもデッサンをしないで、トレースでやっている人がいると思う。そういう人は、トレース(丸写し)で、絵を描いているとは言わない。

でも、そういう人は伸びられない。絵が上手くならない。

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